姫かりふ®の作型と収穫期

2020年12月22日

三陸沿岸の3地点(久慈、宮古、大船渡)の気温データを使って姫かりふの収穫期を予測したので、参考資料として掲載します。

陸前高田の現地圃場で実施した栽培試験結果を解析して、気温の経過から収穫期を予測するモデルを作りました(詳しくはこちら)。このモデルで各地30年間の収穫期を移植日ごとに求めました。表では中央値±25%の範囲(平均的な50%の年の範囲)を「収穫期の目安」として示しました。また「最早」と「最晩」は30年間で最も早い年と最も晩い年です。セル苗の移植を想定していますが、春の早い移植では不時出蕾の危険性が高いので、4月15日以降の移植日を対象とします。品種は姫かりふに適するオレンジ美星と美星(サカタのタネ)です。表1は露地栽培を、表2は窓を開放した雨よけハウス栽培を、表3は寒い時期にべたがけやトンネルを併設した保温ハウスを想定しました。

「収穫期の目安」に示す期間の幅が小さく、さらに「最早」と「最晩」に示す日付が「目安」に近いほど、年々の変動が少なく計画性の高い生産が可能なことを示します。4月から8月までの移植では、収穫期の年々変動が小さく、計画的な生産ができることが分かります。しかし9月以降の移植では、沿岸の北部から次第に変動が大きくなります。例えば、久慈で9月1日にオレンジ美星を移植して露地栽培すると、11月中には収穫が可能ですが、9月15日移植では最も寒い年に4月まで収穫できないという予測です。わずか2週間の遅れが年々の変動を大幅に拡大します。一方、大船渡で保温ハウスを使えば、10月1日移植のオレンジ美星を年内に収穫できます。冬を越す作では凍害を受けやすいので、できるだけ年内に収穫期を迎えるよう作付けすることがポイントです。

2品種のなかでオレンジ美星が美星(白色)よりも早生です。高温期(7, 8月)の出荷ではオレンジ美星の色は淡いクリーム色に変わります。気温が氷点下3〜5℃程度に下がると花蕾に凍害が発生します。美星の方がオレンジ美星よりも凍害に強い(花蕾が凍結しにくい)傾向がありますが、冬期の栽培では日中のハウス気温の上昇を抑えて、花蕾の耐凍性を高める必要があります。