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シイタケ廃菌床の施用による被災農地の土壌復興に関する論文が受理されました。

2013年7月16日

シイタケ廃菌床の施用による被災農地の土壌復興に関する論文が7月10日に受理されました(園芸学研究)。

東日本大震災の被災農地におけるシイタケ廃菌床の施用による土壌およびスイートコーンの生育・収量への効果
加藤一幾*・松嶋卯月・武藤由子・立澤文見・岡田益己

この論文はシイタケ廃菌床を土壌に堆肥化せずに未熟なまま施用することで、スイートコーンでは肥料区と同程度の収量が得られ、土壌の化学性・物理性・生物性が良くなることを報告した、世界初(大げさ)の論文です。

一般的にC/N比が高く、完熟していない粗大有機物を土壌に施用すると、腐熟には長い期間が必要であり、施用直後に野菜を栽培すると、窒素飢餓や生育阻害を起こすと考えられています。

本論文では、廃菌床施用1週間後にスイートコーンの定植を行なっていますが、定植3週後には廃菌床の施用による肥料効果があらわれ、生育が促進されました。収穫時の地上部重は化学肥料を施用した試験区の方が大きかったが、雌穂(果実)の新鮮重は廃菌床区と同程度でした。このことは、化学肥料からの肥料分は茎葉の繁茂に利用され、果実への利用が少なかったことが理由だと考えられます。

また、このことはクッキングトマトでも同様の傾向を示しました。この結果に関しては、秋の園芸学会で発表します。

被災農地の土壌回復とブランド化を目的としたシイタケ廃菌床の施用による環境にやさしい野菜の栽培技術の開発

2013年4月19日

シイタケ廃菌床を使って、被災農地の土壌回復の研究を行なっています。

2011-07-28 17.01.55

上の写真はシイタケ菌床栽培(岩手県久慈市越戸きのこ園)。シイタケを5~6回収穫した後、効率が悪くなるため廃棄されます。廃菌床一般的には堆肥化されたり、燃料として使われたりしていますが、我々は堆肥化の行程を経ずに、そのまま土壌に施用することで、土壌回復と植物への栄養分の供給を試みています。

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廃菌床を数センチに砕き、土壌表面15cm程度で混ぜて、土壌中で好気的に分解させることで、土壌の化学性・物理性・生物性を改善し、化学肥料を与えることなく野菜の栽培を行います。

シイタケ廃菌床は上述の越戸きのこ園から提供を受けています。この場を借りて感謝申し上げます。