三陸沿岸の冬作は凍害に注意

2021年1月25日

 気候学の教えによれば、一般に沿岸は内陸に比べて夏涼しく冬温かい。このため園芸作に適すると言われ、全国的にも海岸に近い地域で園芸生産が盛んです。ところが三陸沿岸の冬の温度の特徴を調べたところ、三陸には特異的に凍害リスクの高いエリアがあることが分かったので、注意喚起します。

 三陸各地のアメダス気温と盛岡の気温を比べました。冬は内陸に比べて日平均気温や日中の最高気温が高く、温かい傾向がありました。しかし岩手県沿岸北部の久慈や普代など最低気温が内陸の盛岡と同じくらい低いところがありました。植物には軽い寒さに遭うと、さらに厳しい寒さに備えて生長を止めて耐凍性を高める能力があります。初冬に温かい日が続くと生長を続けて耐凍性が弱まり、その後に急に寒さが来ると凍害を受けやすくなります。

 下の図は冬に初めて凍害を起こすような低温(-5℃)が訪れる直前10日間の平均最高気温です。この値が大きいほど凍害リスクが大きいことを意味します。三陸の中で久慈から山田にかけた一帯では、凍害リスクが内陸の盛岡よりもはるかに大きいことが分かりました。この一帯では冬に日中の天気が良く、最高気温が上がります。一方で夜間も天気が良いので、放射冷却で最低気温が下がります。釜石以南の沿岸南部も天気が良いですが、最低気温があまり下がらないので、凍害リスクはそれほど高まりませんが、それでも内陸の盛岡に近い値だから注意が必要です。詳しくはこちらの論文をご覧ください。

 凍害リスクの大きい地域でハウスやトンネルで葉物野菜などを栽培する場合は、冬が近づいたら昼の温度が上がらないようハウス・トンネルの換気を行い、耐凍性を高めることが重要です。

編集者 岡田益己